わたくし、愛しの王太子様に嫁ぎますっ!
妃になった夜

国中が王太子の婚姻を祝い、喜びの気に満ちた日。

昼間の騒がしさが落ち着き、空には無数の星がきらめき、月が淡い光を落とす夜。

リオンの城では王太子の結婚を祝うパーティが開かれていた。

広間に置かれたテーブルの上には、旬の食材をふんだんに使った色鮮やかな料理が並べられ、黄金色の液体が何本ものグラスに注がれては運ばれていく。

シャンデリアに照らされた金の食器が光を放ち、楽師たちは緩やかなダンス曲を奏でる。

着飾った紳士淑女が食事やダンスを楽しむ中、リリアンヌはアベルとともに来賓との交流に勤しんでいた。

近隣国から来た大使や王太子はもちろん、国内の重鎮からも祝いの言葉をもらい、互いに紹介しあい笑顔で礼をとる。

二人が広間に入るのと同時に始まったそれはパーティが中盤に入ってもまったく終わりが見えず、リリアンヌは“強国リオン”の王太子妃になったのだと改めて強く感じていた。

息つく間もなく紹介される人物の特徴をつかみ、名前と爵位を憶えるのに必死になる。

今夜すべて覚えなくてもかまわないとアベルは言ったけれども、そういうわけにはいかない。

王太子妃として、後々会合やパーティ等に一人で参加することもあるだろう。

挨拶をされて、どなたでしたっけ?なんて訊くのは大変失礼なことだ。


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