大人のような子供の二人
エピローグ
*****


「構図が好きじゃない」

 そう言った私に、眉を寄せる今野くん。

「構図が……って、どのアングルで撮れって言うつもりだよ」

「ん~…なんとなく、こう……浮いた感じで?」

「何となく……」

「……今野に感覚を求めるのは、酷な気がするが」

 会社で写真を見ながらやり取りをする私たちの後ろで、宇津木君が呟く。

 結局、写真を使うデザインの殆どを今野くんと組んでいたりする。

「そうね~。こう言う感覚的な視覚は、神崎ちゃんの方がいいかも」

「アレは駄目だぞ。今、荒城氏と雑誌社の仕事で浮き上がってるから」

「あら。凄いじゃない? 何回目」

「三回目だな。小説のを抜かせば」

「相変わらず、スケジュールは宇津木君が立ててるわけ?」

「そうでもしないと食うのを忘れる」

 言いながら、宇津木君は私の方に振り向き……

 正確には、私の斜め上を見上げている。

「……心が狭いぞ」

 もちろん、その言葉は今野くんに向けての発言。
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