大人のような子供の二人
「加納さ……」

「呼び出してすみません。では、さようなら」

 デスクに向き直って、書類を整えると立ち上がり、ツカツカと部署を出ようとして──……

「待って」

 腕を掴まれて立ち止まる。

「何?」

「納期が5日後。少なくとも急いでいるから俺に連絡くれたんでしょう?」

「そうね。だから忙しいの。腕を離して下さらない?」

「だったら──……」

「聞いていなかった? 貴方の写真なんていらない。自分を侮辱する人と一緒に仕事なんてしたくないの」

「言い過ぎました。謝りますから──……」

 掴まれた腕を見て、それから彼を見上げる。

「でも、私の事をそう思っている訳でしょう? 今まで要領悪い私に付き合ってくれてありがとう」

 ちょっとだけ力が入った指先を腕から引きはがし……ニッコリと微笑んだ。

「さようなら」

 背を向けて歩き出す。

 もう今後一切、今野くんには頼まない!

 部署を出た私の後ろで、ドアが閉まる音が響いた──……










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