夫の教えるA~Z
「王様っゲーーム。ヒュー‼」

先輩命令でアホな掛け声を掛させられ、何の拷問なのかゲームはスタートした。
 
「じゃあ、1番の人がイッキ飲み」
「5番の人、服を脱ぐ……ただしぃ……1枚」
始めのうちは女の子の王サマの、無難な命令が続いた。

「5番と3番、10秒見つめ合う」
3番、私。楽勝だと思ったら、5番が旦那サマだった。
 「…………」
 「…………」
余裕たっぷりに微笑んで、ヤツはしっかり目線を向ける。
どこか射すような非難の眼差し、へんな汗が止まらない。

「うっ、ハキソウ……」
「赤野ぉ、大丈夫か?トイレ連れてってやろうか?」
淀んだ目で先輩が尋ねる。

「け、ケッコウです……」
オカされそうだ。


「……じゃあ…2番と王様がぁ、お酒を飲ませ合う」
テレテレしながら王様がいうと、旦那サマが杯を注いだ。
おいこら。あんた、あからさまにクジの番号、見てたよね。

愛想と色気を目一杯に振り撒きながら、これ見よがしに彼女の口許にグラスを運ぶのはサスガだ。
そこまでしなくていいじゃないかと、真剣に泣けてくるほどに。
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