ひとつの村が消えてしまった話をする
俺はある山奥の村で生まれ育った。

人口は100人程度、村に学校は無かったから、町の小中学校まで通って行っていた。

村人の殆どは中年の大人や高齢の方で、一部の高校生や大学生の人達も村を離れている。

当時の子供達と言えば、俺と幼馴染の女子の葵(あおい)と男子の滋(しげる)の同世代のみであり、俺達より年下の村人もいなかったから、殆ど仲の良い3人で勉強をし、川遊びをし、釣りをしたりという生活を送っていた。

幼馴染の葵は、俺達の中でも一番賢く、はっきり言うと美人で、超田舎にこんな子がいるのは、割と珍しい方なんじゃないかって、1人思っていた事もあった。

神社の神主の一族で、幼い頃から巫女として育てられてきた。

幼馴染の滋は、頼り甲斐のある奴で、遊びの予定とか内容も殆ど彼が決めていた。

ガタイが良く、豊富な知識で楽しませてくれる親友だ。

ちなみに町の小中学校も人数が少なく、廃校寸前のような状態だった。

村は全体的に田畑、小川、空き地が殆ど。

古い歴史がある神社、池が1つ。

村人がやっている、八百屋や服屋が一軒。

この村へ行くには、人口数千人程度の町から、村へと続く道なり20キロ程度の1本の山道を通る必要がある。

町から村へ行く道は、この1本の道しか無く、交通の便は非常に悪い。

山奥の村という事もあって、村の関係者以外の人は殆ど来る事は無い。

と、軽く村と諸々の紹介をした所で、本題に入ろうと思う。

この話は、俺が15歳の夏、中学3年生の夏から体験した出来事。

非常に現実味の無い話だが、とある事情から、虚構を混ぜずに語る事を誓う。

説明が長いと思われるかもしれないが、なるべく分かりやすく、俺の体験を皆に知って貰う為の余計な配慮だと思ってくれ。

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