私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 伝える術がなくて黙っていると、もういいとドスの効いた声が返ってくる。

 少しだけ顔を見ると睨まれたからすぐにそらされた。

 なんで怒ってるの?私のせい…?

 勝手に震えそうになった手を押さえて刷毛をペンキの缶の中に入れて立ち上がる。

 自分で言えないなら、瞬連れて来ればいいんでしょ。話す機会がないなら、それくらい連れて来れるもん。

「…どうした」

 瞬に近づくと、すぐに気づいてくれたけどやっぱり機嫌悪い。

 理紗が言いたいことあるんだってと伝えると、眉間のしわが深くなる。

 無言で理紗に近づいて行った瞬。理紗は声をかけられたことにびっくりしたけど、なぜか私を睨む。

 少しだけ話すと、瞬はすぐに戻ってきて、理紗も背を向けた。

「秋、こっち手伝え」

「?」

「いいから」

 手を引っ張られてなぜか別の作業へ…。瞬は自分の作業戻ったくせに、変なの…。
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