私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 夏の背に手を回すと、強い力で抱きしめられる。

 …ううん。抱きしめられてるって言うより、抱き着かれてるって感じがする。

 夏の頭を撫でると、相変わらずふわふわした髪の毛で、気持ちいい。

「夏?」

「…秋奈」

「うん」

「…ありがと。俺、秋奈が手繋いでくれなかったら、こんなに楽しいところ、知らなかった」

「まだ、いっぱい楽しいところあるよ。だから、一緒に行こう?瞬と、六花も一緒に。4人でさ、旅行とか行こうよ。ね?」

「はは、楽しそう…」

「でしょ?」

 ぎゅっと抱き着いている手に力がこもる。

「ね、だからここにいていいんだよ?夏の居場所は、ここにあるから…。どこにも行かないで」

「…うん。俺も、ここにいたい」

 多分、本音だと思う。

 そっと離れた夏は、ごめんと笑って、急いで1階に下りて行った。

 ついでに鈍い音が聞こえたのは、多分瞬が怒ったから。

 そんなけちけちしなくていいじゃんね?

 案の定、2階に戻ってきた夏は頭抱えてた。
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