私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

染まる色 夏樹side


「……い、…き…………起きろ、夏樹」

「…」

 あれ、秋奈と瞬桜は…。

 あぁ、夢か…。ずっと、覚めなきゃよかったのに。

 呆れ顔のリツキはめんどくさそうに携帯を見てため息をつく。

「なんだよ」

「どっかのバカが囲まれて動けないみたいでさ。…夏樹、回収して来てよ」

「…どこ」

「繁華街の路地裏。1人で行くのが悪いってのに」

 リツキの言うことを無視して起き上がる。

 ここにいるより、ましなのかもしれない。

「夏樹、ついでにこれ、取って来てよ」

 振り返りざまに飛んできたのはロッカーの鍵。…またか。

「最近多すぎんじゃねぇの」

「どっかの誰かがご乱心だから。全然足りないんだよね」

 そういう意味じゃねぇけど…。

 ここに流れてくる薬は全部リツキが経由してる。金もどこから出してるのか見当もつかなねぇし…。こいつ、何者なんだろ。

 まぁ、下手に聞くこともねぇし。

 すぐに部屋を出る。倉庫の中に響く声を無視して外に出た。
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