私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「夏!!」

 手を振りほどいて夏に向かって走る。間に合えッ!!

 両手を伸ばし、夏に思いっきりぶつかる。

 その瞬間、頭の上を何かがかすめていく。

 床に倒れ込んだまま2階を見ると、冷たい視線がぶつかる。

 自然と夏を抱きしめる力が強くなる。

「秋奈!」

「来ちゃダメ!!」

 リツキと視線を合わせたまま今にも飛び出してきそうな声を制し、ゆっくりと起き上る。

 銃口は間違いなく私の額に向いてる。

「それ、降ろして」

「あ?てめぇが指図してんじゃねぇ!!」

 倉庫中に響き渡る重い音。左の頬が熱い。

 何かが伝ってくるのは分かったけど、動こうとはしなかった。

「夏はもう自由になったんだ!あんたとやり合う気なんかない!」

「紫炎の総長は俺だ。夏樹を渡すわけにはいかねぇな」

「あんたが勝手に決めただけだろ!」

「黙れ!!」

 足元に弾丸が食い込む。

 拳銃って何発あるの…?少なくともこれで5発。後何発あるんだ…!
< 318 / 341 >

この作品をシェア

pagetop