私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

帰ってきた場所


「はぁぁ!!?」

「うるさっ!」

 ジェットコースターじゃないんだからこんな至近距離で叫ばないでほしい。

 思わず両耳を塞いで、隣にいる夏を睨み付ける。

 だけど、ぽかんと口を開けたまま固まってた。

 自然とクリームパンをぽっかり開いた口にくわえさせてまた歩き出す。

「っんぐ!?」

 あ、やっと我に返ったらしい。

 少しだけ振り返るとパンを片手で押さえながら追いかけてくる。

「秋奈今のどういうことだよ!?」

「何が?」

「だから、留学断ったって!」

「パン食べちゃいなよ」

 中途半端に食べちゃったからそんなに強く持ったらクリーム飛び出してくるって。

 大急ぎでパンを食べちゃった夏はまた焦ったように詰め寄ってくる。
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