私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

「行ってほしいわけないだろ…」

「なら、いいじゃん。行かないんだもん」

「でもっ…秋奈は行きたかったんじゃないのか?」

 不安そうに、じっと見つめてくる夏は何を怖がってるんだろう。

 もしかして自分のせいで行けなくなったとかバカなこと考えてる?

「…別に焦る必要はないから。今は高校生でいたいし…」

 それに、約束したのに。置いていけるわけないじゃん。

 不安顔の夏の頭に手を伸ばして、そっと撫でる。

 やっぱりふわふわだ。

「忘れたの?一緒に卒業するんでしょ」

「…秋奈」

「だから、とりあえず明日からテスト勉強ね」

「は!?」

 何を驚いてるのかなぁ。

 まさか余裕があるとか考えてる?1ヶ月も学校休んでおいて?

「あ…秋奈、冗談…だよな?」

 思いっきり引きつった顔を浮かべてる。

 さっきまでの弱々しい顔はどこへやら。

 じりじり後ずさりして離れようとする夏のジャージを掴んでにっこり笑みを向ける。
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