私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)
「紅蘭には一般で行きます。姉ちゃんも一般で突破したんです。俺も頑張れば行けると思うんで」
「…勉強しとけよ」
「分かってます」
大会に行かないことを後悔した様子はない。それほど秋奈の傍にいたいんだ。
弟は姉ちゃん怒りそうですよねと言いながらも、笑った。瞬桜も、苦笑を浮かべる。
秋奈なら確かになんで行かなかったんだって怒るだろう。
自分だって、もし瞬桜や弟がこうなったら何があっても行かないはずなのに。
笑われてる秋奈は、相変わらずすやすや寝息を立てる。
そんな秋奈を瞬桜も弟も悲しそうな目で見つめるんだ。
「秋、お前こいつに怒ってやれよ。全国大会棄権すんだと」
「えぇ。瞬桜さん、それ報告しなくていいんですけど…」
一大事なのに、そんなことも言わないとすぐに沈黙が落ちる。
そして、やっぱりすぐ部屋を沈黙が包んだ。