私たち暴走族と名乗ってもいいですか?(下)

 目を閉じかけた時、部屋のノックの音が聞こえて慌てて起き上がる。

「清志くん、くれぐれも…」

「おばさん、分かったから。秋奈、元気か?」

 きよにぃ…。ドアを開けたきよにぃはお母さんに苦笑いを浮かべながら部屋に入ってくる。

 お母さんは不満そうな顔をしてたけど、階段を下りて行った。

「秋奈、大丈夫か?」

 ベッドの前まで来たきよにぃは頭を撫でようとするのをやめて、手を握ってくる。

 しばらく私を見ていたけど、不意にあぁそうかなんて言って頭をかく。

「声、出ないんだったな」

「………」

「お前が怪我したって聞いて、来たんだよ。大丈夫か?」

 頷くと、何とも言えない顔をする。

 さっき六花にもらったホワイトボードを引き寄せてペンを抜く。

 聞きたいことを書いて、きよにぃに見せる。

「ん?お母さんに何言われたかって?あぁ、秋奈は病み上がりだから、あんまり長居するなって言われたんだよ」

 きよにぃの右手が左手の甲を掻く。
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