夢の続きは隣の部屋で…

2人の帰郷と…



駅周辺はこじんまりとしていて、8時前から開いている店はファミレスと喫茶店、ファストフード店くらいしかない。


拓登はその中からファミレスを選ぶと、戸惑う乃里花をよそに店へ入る。置いていかれまいとパタパタと後ろを歩き、2人で着席した。

店内には同じように電車から降ろされ行く場所もないサラリーマンや学生たちが数人、時間つぶしをしているようだ。

「はい」

「あ、ありがとう」

2人はドリンクバーを頼むと、拓登が親切にも乃里花にオレンジジュースを持ってきてくれた。

『電車が動き出すまでここにいるのかな…』

乃里花はそう思いながらストローに口をつけ、正面に座る拓登をチラッと見た。
拓登はテーブルに肘をつきながら、無言でケータイをいじっている。


おそらく、乃里花の視線には気が付いていない。


『たっくん、なに考えているんだろう…』


その表情からはなにも読み取ることが出来ない。
乃里花は小さくため息をつくと、またオレンジジュース口にした。
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