夢の続きは隣の部屋で…
駅前のバスロータリーから昼間は20分に1本、
さらに進むと2人が住んでいた地区がある。

とりあえずと、2人がかつて通っていた幼稚園へと足を運んだ。




「わ~、変わってない!!」


卒園して10年ほど経つというのに、乃里花が覚えていた幼稚園の雰囲気そのままで園児たちが元気に園庭で遊んでいる。

ずっと近くに住んでいたはずなのに、なかなか来ることのなかった景色。乃里花は頬を緩め園の様子を眺めていた。

「あぁ、、確かにこんな幼稚園だったな…」

拓登も当時を懐かしむように園児たちの姿を目で追った。

乃里花はそんな拓登の姿をチラッと横目で見て、ちょっと切なくなったが、せっかく2人でこれた思い出の地を前に、今は考えないことにした。

幼稚園の正門横の壁には、1つ1つにオリジナルのイラストが描かれたタイルがはめ込まれている。
乃里花はタイルの中から1つを見つけると、嬉しそうに拓登を手招きした。

「見てこれ!!私が卒園するときにかいた絵!!まだ残ってるんだ~。…あっ、たっくんのもこっちにあるよ」

そういうと乃里花は少し離れた場所に飾られたタイルを指さす。
そこにはライオン?のような動物の絵が描かれている。

「本当だ…『すどうたくと』ってかいてある」

「毎年ちゃんと卒園児たちの絵が増えてるんだね…懐かしいな」

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