ぼっちな彼女と色魔な幽霊

入ると、ヨウが作業机に広げた本に覆い被さるように眠っていた。

お昼、いつも通り待っていたのにヨウが来なかったから、踊場でひとりで食べたというのに、ここにいたのか。

「あれ?なんでいるの?」

声をかけると、ヨウは顔をあげた。

「あ?なんだお前か。昼?」

「うん。待ってたのに来なかったから。先ご飯食べちゃったよ」

「そうか。わりー。飯」と、手のひらを見せるから念のためにと持ち歩いていた巾着袋からアルミホイルで包んだおにぎりを渡す。

「ヨウもさ、本好きなんだね?」

「別にふつーだよ」

「教室にいないときはいつもここにいたの?」

「最近はな。大体は向こうの閲覧とこで寝てる。
前はなー色々見て回ったりもしてたんだけどこれといって情報もないし」

「ふうん」

「ニヤニヤしてんなー。そんなに嬉しいの?図書委員」

「ニヤニヤなんかしてないです」

「二嶋に委員会一緒にやるって言ったらよろしくねーとか言われて、ズキュンみたいになってんじゃねーよ」

グサ。

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