ぼっちな彼女と色魔な幽霊
10

昼休みの図書カウンターにわたしと才伽ちゃんはいた。

クラスに三人も図書委員がいるものだから、ジャンケンで昼休みはわたしと才伽ちゃん、放課後はわたしと二嶋くん(つまり、わたしが一番ジャンケンが弱かった)に今日は別れることになった。

貸し出しの手続きの仕方を教わったけど、ひっきりなしにカウンターに人が来るわけじゃないから、正面の閲覧席をぼんやり見ていた。

「あたしさぁ、ダメなんだよね」

「何が?」

「静かにしなきゃいけないところにいると喋りたくて仕方なくなるんだよね。昔から」

くすっと笑うと、読書をしていた生徒が顔をあげてこっちを見た。

才伽ちゃんも気づいたみたいで口を閉ざすけど、やっぱりそれも一瞬だけ。さっきよりボリュームを落として話しかけた。

「今日、放課後あたしも残るわ。さっさとしおり作るの終わらそう」

「えーっ?いいの?」

「うん。また秀一に文句言われるのも癪だから」と、遠矢くんを目の敵みたいに言う。

「三人でやれば早いよね」と約束を交わした通り、放課後の図書カウンターに、二嶋くん、わたし、才伽ちゃんと並んで座っていた。
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