ぼっちな彼女と色魔な幽霊

「ひな子は俺に逆らえないんだろ?」

微笑むと彼は、風にさらわれたかのように、消えた。

キラキラと光の道を踊る埃のような輝きが残っていて、しばらくそこから目を離すことが出来なかった。

「……ヨウ」

いってしまった。

だけどさっき触れた気がした彼の温度の感覚がこの手に残っているからか、ひとりの屋上はもう切なくない。

ふと見上げた空。

神様の足が雲からはみ出していて、今日も悲しくなるくらいきれいだ。

だから、どうかそこには連れていかないで下さいと祈らずにはいられなかった。

でもきっと。

大丈夫。大丈夫。

きっとまた会える。

ヨウにまた会える。

わたしは、そう信じる。
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