友達以上、恋人以上。


私は意を決して、口を開いた。


「...スマホでs」
「アホか」



私が言い終わる前に食い気味に言われた。

先生の鋭いツッコミに、どっと笑いが沸き起こる。


が、私は笑えない。
真面目に。

スマホがないと死んじゃう病気なんだよ。



空が黒い雲で覆われていく。

私はそれを黙って見つめていた。






「しーちゃんはほんと、スマホ大好きだもんね」

帰りのHRが終わった後、クスッと笑いながら言われた。


「藍莉だってスマホ大好きじゃん」

「しーちゃんよりはマシだよ...」


そんなに酷いか私は。



「何話してんのー?」

「っわぁ!?」


横からひょこっと顔を覗かせた男子に驚き、間抜けな声を上げる。


「ふは...おま、『きゃっ』とか...可愛い声出せねぇのかよ...くくっ」


笑いを堪えているのがわかる。


「悪かったね!」

藍莉は、奏多くん笑いすぎだよ、と苦笑。


私には幼稚園からの幼なじみが3人いる。
そのうちの2人が、藍莉と奏多だ。




白石 藍莉。

ココア色のロングヘアーとくりくりした目が印象的。
三姉妹の次女で、趣味はピアノ。
ザ・女の子って感じだ。



さっきの男子が九条 奏多。

勉強<運動。黒髪の猫っ毛は触り心地がいい。
右目の下に小さいほくろがあるのが特徴的。
三人兄弟の末っ子。




放課後になると、こうして3人で集まることが日課になっていた。

私と藍莉は1組、奏多は2組になってしまったから、いつも1組まで来てもらっているのだ。



「あー、暇じゃー」

「あれ紫乃、スマホは?」

「聞くな」

私が放課後にスマホをさわっていない事は逆に異常なのか。
そこまで来てしまったのか。分かってたけどなんかへコむ。


と、窓の外が一瞬ピカッと光った。

数秒もしない内に、地鳴りのような低い轟音が響く。

藍莉は雷が大の苦手...と最初は思っていたが、全然そんなことはなかったのが意外だ。

もちろん私も怖くないけどね!



「なぁ...これ、雨降るんじゃね...?」



奏多がそう言った途端、激しく校舎を叩きつけるような雨が降ってきた。


「やば、ほんとに降ってきちゃった...どうやって帰ろう」

「2人とも傘持ってねーの?」

「傘は持たない主義だから。面倒くさい」

「天気予報で晴れって言ってたから...」

「なんだこの2人の回答の差は」

「うるさいな。そういう奏多は持ってんの?」

「もちろん」


即答。しかもドヤ顔。うざい。


とりあえず玄関で雨が止むのを待とう、という藍莉の提案で私たちは階段を下りて玄関へ向かうことにした。
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