溺愛されました

「…だって、体調が悪かったのかも知れないし、こんな負け方するなんて」


「勝負は時の運。運も実力の内ですよ?」


「……そんな」


「…咲希は、どっちの味方なんですか」


怒っている。それはそうだろう。婚約者が他の男の肩を持てば、そうなるのも当然だ。


言葉に詰まる咲希。
あまりの落ち込みように、樹荏の顔もまともに見られない。


「そういうことなので、これ以上彼女に付き纏うのはやめてくださいね?」


樹荏の方を見て、冷たく言い放つ諏訪。


「…嫌や」


「はい?」


「……こんなことでは諦めへん。俺はもう決めた」


「何を言っているのかわかりませんが」


「一回や二回、フラれたくらいで諦める気はハナからないって言うてんねん!!そんなん俺からしたら惚れてるうちに入らへんねん!!」


「ストーカーにでもなるつもりですか??」


「むしろ、嫁にするって言葉に二言はないってことや」


< 35 / 65 >

この作品をシェア

pagetop