野獣はおやつの時間
 

「…フー」

煙草を吹いた後、手元にあった缶コーヒーを飲みながら私はまた空を見上げていた

(…今日はちょっと風が強いなー)

雲の動きを見て、そんな事を思った










───詰まらないなぁ────










いつも同じ日々を送ってはまた同じ日々を繰り返す

端から見たらそれは、普通とも幸福とも言える

けれど私はそれで満足をしていなかった

友達と話すのは楽しいし、独りの時間も好きだ

しかし、それでは私の心が満たされることはなくて…もっと、もっと刺激的な何かがあればなと日々思っていた

(まぁ、そう上手くならないのが現実なんだけど)

携帯のロック画面を開くと、丁度15:00になっていた

ずっとここに居るのも暇なのは変わりなくて、私は隣の建物に視線を向けた

コインランドリーの隣は丁度古本屋があった

(…暇つぶしに漫画でも読もうかな…)

そうと決まれば直ぐに古本屋へと向かった

その姿を見つめる視線に気づかないまま





-30分後-

(…あんまりいいのなかったなー)

少女コミックから少年コミックまで手当たり次第に漁ってみたが、気になったモノはどれも読んだことのあるモノばかりだった

多少新しく気になったモノもあったが巻が抜けていて読む気がなくなった

「…そろそろ違う所に移動しようかな」

さっき居た場所に自転車を取りに戻る

(…ん?)

コインランドリーの横を通った時、チラリと視線がいってしまた私は不思議に思った

(洗濯物まだ回ってるのに…なんで居ないんだろ)

そう、30分前に来た男組がコインランドリーの中に居たはずが何故か居なかった

(……車で来てたし、中で待ってんのかな)

まだ少し肌寒い今日だから、きっとそうだろうと思ってコインランドリーを曲がった私は、驚いて声が出そうになった

「………」

「…何してんの?」

「えっ?いや、それ…私の台詞で、すけど?」

そこに居たのは、さっきの三人組の一人の黒髪で無表情の彼だった




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