孤独少女~Kiss Me~
この人は今、何を言ってるんだろうか。

ポカンと口を開けたまま、相田を見つめてると、「いきなり絡めるつもりか」と言われた。

“何の話?”と突っ込もうとしたけど、すぐにわかって口を閉じる。



「学校では普通でえーよ……;;」



「それは俺次第ちゃうんか」



「ま、まあ……そのっ……;;」



相田任せで来たキスに、フレンチとかディープなど、私に選択権はない。



「任せるから、恋人として、キス……してくれる?」



「仰せのままに」



相田のシャツを掴み、顔を近付けた。

後頭部に回された手をグッと引いた相田。

勢い良くぶつかる。

けど、何もアクションはない。

ただ触れただけ。

それなのに、この幸福感は何やろか。

大きく脈を打つ胸。

熱を帯びる顔。



「好き。大好き」



「あっそ」



おでことおでこをぶつけ合い、想いを告げたのに素っ気ない。

けど、目を逸らしたという事は、照れてるのだろう。

それが相田。

優しさを隠すのが相田。

そんな相田にもときめく私は、元・孤独少女。

そして今は、幸福少女かな。

…何てな?



            - Fin -









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