たとえば呼吸をするように
「俺っ……ほんとは……っ……先生になりたかったんだ……体育の……バスケの楽しさを、子ども達に教えてやりたかった……」


ぎゅう、と、抱き締める力が一層強くなる。

まるで小さな子どもが不安でいるような。


……土屋。

怯えないでいいよ、私はここにいるよ。


「でも……俺の目……もう、見えねえから……教えるどころか……自分でもプレーできねえ……っ」

「……っ」


夢を見つけることは簡単じゃない。

だけど、一度見つけた夢を捨てることの方がきっと、ずっと難しくて苦しいんだ……。


「朝……先生から放課後面談するって言われて……今の俺に合った学校、いくつか紹介されたけど……でもやっぱ諦められなくて……悔しくて、俺」


嗚咽混じりで途切れ途切れに話される土屋の心の内は、想像以上に悲鳴をあげていた。

なのに、それを隠すのがこの人はとても上手だから……。


「見えてる世界も将来も……真っ暗だよ──っ」


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