運命の扉

教室に戻ると、生徒達の声で賑やか。
「悠人おはよう。」
美佳が悠人の姿を見つけると、いつものように元気に声をかけた。
「おう、おはよう」
「珍しいじゃん、朝早く学校来るなんて。」
「ちょっとねぇ。」
美佳がニヤニヤしながら答える。
「なんだよ。」
「ガールズトーク!」
「はっ?」
「ガールズトークしてたの。」
「ガールズトーク?んなの毎日してんじゃん。」
「へへへ、今日は2人だけの秘密を語り合ってたのさ。」
テンポよく弾む会話。
「うちら、また親密な関係になったもんね〜。」
美佳はあたしの机に肘をついて、悠人に自慢げな顔をした。
「あー、そうですか。」

会話に途切れた同時に、タイミングよくチャイムが鳴った。
「早く席戻れよ。村上と話してると朝から疲れる。」
呆れたように笑う悠人。
「はいはい。」
美佳は渋々と自分の席に戻っていった。
「なんの話?」
美佳を見届けてたら、悠人に声をかけられる。
「へっ?」
「今日のガールズトークは。」
「えっ、あぁ。」
「なに。」
「恋愛の話。」
「…恋愛?」
「うん。」
「…ふぅん。」
いつもはどういう話をしたとか、深く聞いてくるのに、今日は追求されない。聞かれても答えられなかったからよかったけど。ふと見た優斗の遠い目があたしを不思議な気持ちにさせた。

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