運命の扉

教室に戻り、帰る支度をする。
「送ってく。」
「大丈夫だよ、すぐそこだし。」
「だめ。女の子なんだから。」
ちょっと強引な優しさを受け取る。既に黒い闇に包まれた空は、寂しさを消すように小さな光を散りばめていた。転々と点いている教室の明かりを道しるべに、歩く。
「日曜日、どこ行こっか。莉奈は行きたいところある?」
敬ちゃんは嬉しそうに、デートの予定を考えてる。その姿が可愛くみえてしまう。本当に素直な人。
「あたしはどこでもいいよ。」
敬ちゃんとならどこでも楽しめる気がする。
「うーん。動物園?それとも映画の方がいいかな。…っ。」
急に言葉に詰まり、歩く足を止めてしまった。
「俺、女の子とデートとか初めて、なんだよね。」
顔を赤く染めながら恥ずかしがる敬ちゃん。意外。モテるって聞いてたから、てっきり彼女の一人や二人いるかと思ってたのに。どうやら、違うらしい。
「そうなんだ。」
なんだか、あたしまで恥ずかしくなる。連鎖反応ってやつだ。
「はぁ。真帆といるとダメだ、俺。」
敬ちゃんは耳の後ろを触りながら、真っ直ぐあたしを見つめた。癖、なのかな。
「こんな時に、すごくせこいと思う。」
真剣な瞳。
一瞬、さっきの悠人と敬ちゃんが被った。
「俺、真帆が好き。ずっと好きだった。」
えっ、今なんて。
「ビックリさせてごめん。」
いくら言葉を探しても、何を言って良いかわからない。どうしよう。コクハクされた?
「まだ出会って2日しか経ってないけど。俺は一年の時から真帆を好きだった。さっきも、好きな人が目の前で強がってる姿、見てられなくて。」
だから抱き締めてくれたの?
「ホント、急にごめん。」
敬ちゃんは深々と頭を下げた。
「そんな、謝らないで。」
「日曜日、もし、俺とのデートが楽しいって思えたら、お試しで良いから。」
下げていた頭をゆっくりと起こす。
「俺と付き合ってください。」
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