ユウナの手記
ユウナの人生の記憶はくだらないことから始まる。

うす暗い部屋で缶ココアを飲むシーンからだ。
小汚いピンクのトレーナの袖がこれでもかというくらい捲ってあってさ。

くだらなすぎて呆れるでしょ?

それが1才未満の頃。
彼女のココア好きはこの時からなのかもしれない。

小さな街の小さな白いアパートにユウナは生まれた。
背の低い眉間に深いシワのある父親と、茶髪でどこか困ったような顔の母親との間の一人娘だった。

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