恋愛と失恋の果てに。
「もう……相変わらず景ちゃんは、生真面目ね。
すぐに現実を見て諦めるんだから。
その気があったら、すぐにでも役者に転職出来ると思うのに。そうなれば……」
「やめろ。昔の夢は、あくまでも夢だ。
もう演技をするつもりもない」
キッパリと否定する課長。
私は、それを見ながら
本当に……課長は、役者を夢見てきたんだと知る。
意外な過去だった。
すると天宮麻梨子が
「ねぇ……彼女でしょ?
あなたが、想いを寄せ始めている女性って。
あの人のために諦めた演技もこの仕事も引き受けたの?」
思わない言葉を言ってきた。
それって……私のこと!?
「今回のは……たまたまだ。
それに……彼女のことは、もう諦めている」
課長……!?
課長の言葉に胸が突き刺さる。
諦めてるって……何?
勝手に諦めないでほしい。
私は、まだ……
「景ちゃんって……いつもそう。
すぐに諦めて勝手に決断を出すんだから」
えっ……?
私が思ったことをまさかの天宮麻梨子が代弁してくれた。
「麻梨子……」