シンデレラは恋に臆病
『池田屋』とかかれた暖簾をくぐり、がらがらっとドアを開けると店主の威勢のいい声が響いた。

「へい、らっしゃい。おや、今日はひとりじゃないんだね」

「……こんばんは。今日は上司と一緒なんです。伊達さん、カウンター席でいいですか?」

店主のおじさんとは顔見知りで、たまにおかずを一品おまけしてくれることもある。

値段はリーズナブルで美味しい。

私のお気に入りの場所だ。

ランチも激込みだけど、夜も仕事帰りのサラリーマンで賑わっていてテーブル席はほぼ埋まっている。

「ああ」

伊達さんが頷くと、目の前のカウンター席に腰を下ろす。

「いつもひとりで?」

ひとりで来て悪いのか?

ちょっといらっとしたが、澄まし顔で答える。
< 13 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop