シンデレラは恋に臆病
「……お帰りなさい」

強張った顔で挨拶すると、伊達さんは私に真っ先に近づいた。

「今日もお腹空いてるだろう?俺もすぐ帰るから夕飯一緒に食べに行こう」

「あのう……今日はちょっと……用事が」

伊達さんの視線を避けて断ろうとするが、彼は私の腕を掴んだ。

「食べて帰る方が楽じゃないか?今日は俺がいい店を紹介するよ」

私の言い訳を無視して伊達さんは強引に話を進める。

笑顔で彼に押しきられ、私は仕方なく了承した。

今日が……最後。

これで、きっぱり伊達さんのことは諦めよう。

このままだと伊達さんに自分の思いを気づかれる。

彼は鋭い人だ。

絶対に隠さなければ……。
< 22 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop