顔とお金で世の中は廻っている。
「そうだね。ありがとう。ところで柚希はここで何をしてたの?ご飯を食べに来たってわけじゃなさそうだけど」

柚希のテーブルの上にはマグカップ一個だけ置かれていて食事をしていた形跡は見受けられない。

「ちょっと暇だったからカフェ巡りでもしようと思ってね」

出たよ、カフェ巡り。よく趣味のない女子がお洒落さと可愛らしさをアピールするために使用される用語だ。よくどこに行くの?と聞いたら8割はスタバと答える。(僕調べ)
 
そもそもカフェ巡りってなんだ。

要はカフェを飲みながらまったりした時間を過ごすことでいいの?

それって楽しいの?

ぼっちと何が違うの?

ひとりで外でご飯食べている人は趣味ピクニック巡りってこと?

「そうなんだ~。お洒落なんだね」

「絶対そんなこと思ってないでしょ?」

柚希がジト目で見て来る。

「バレた?」

「バレバレだよ。顔に嘘ですって書いてあったもん」

「柚希には嘘つけないな」

慶太と柚希はお互いの目を見つめてクスクスっと笑う。

どうしてだろう。さっき初めて会ったはずなのにそんな気がしない。昔から知ってい
たような感覚がする。

「慶太くん、この後の予定は?」

「まだ自由時間、二時間あるからそこらへんぶらぶらしようと思ってる」

「じゃあさ、付き合ってよ」

「ごめんさい。さっき知り合ったばかりでお互いまだ分かり合えてない部分も多いからまずは友達から」

「そっちの付き合ってじゃなくて私の用事に付き合ってってこと」

ベタすぎる小ボケに喰い気味にツッコんできた。

「知ってる。んでどこ行くの?」
 
せっかく入れてくれた小ボケのツッコみを何食わぬ顔でスル―して話を先へ進める。
 
「じゃあ、言わないでよ。



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ホラー・オカルト50ページ

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世の中は嘘と悪で溢れている。 世の中を生きるすべての者たちは自己と周囲を欺き生活している。 どんな過ちも自らの取り巻く環境さえもあの頃は若かったからや魔がさしただけなどすべて肯定的に捉える。 何か致命的な失敗をしても、それさえ生きた証として思い出の1ページに刻むに過ぎない。 例えば学校のいじめ問題。いじめの加害者はそういうつもりではなかった、周りがやっていたから、場の流れで行ったなどと自己の過ちを肯定的に話す。 世の中は多数決で決まっている。人数が多い方が正義で人数の少ないものが悪なのだ。その内容に意味を見出さない。 彼らは多数派ならばどんな一般的な解釈も社会通値も捻じ曲げてしまう。 どんな凶悪な殺人事件のニュースを見ても可哀想や気の毒などたった数文字で済んでしまうように彼らにはどんな嘘も秘密も、罪も、失敗さえも『人生』のスパイスでしかない。 そして彼らはその悪に、その罪に特別性を見出そうとする。 自分たちの失敗は過去の過ちで済ますが、他者の失敗は過去の過ちでは済まされないと断ずる。 すべて彼らのご都合主義でしかない。 ならそれは欺瞞だ。嘘も欺瞞も秘密も詐術も全て糾弾されるべきものだ。 彼ら、彼女らは悪だ。 こんな嘘と悪にまみれた偽りの世界で人を信じることはできるだろうか。 できたとしてそれは正解なのだろうか。 友情や愛情はほんとに存在するのだろうか。 人間には表と裏の顔がある。 貴方の友達は本当に友達ですか? 貴方は友達のどこまでを知っていますか? 表面しか知らないのではありませんか? 貴方の恋人はどうでしょう? 貴方は恋人のどこまでを知っていますか? 表のいいところだけしか知らないのは幸せなことでしょう。 裏の嫌な部分は知らないわけですから。 しかし裏の顔を知らず、無知で生きていることは果たして正解なのでしょうか。 綺麗な表面しか知らない人間と表の顔と裏の顔を知り現実を受け止める人間。 あなたはどちらを選びますか?

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