初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
そんなことを思いながら、私は柊ちゃんの手の感触に、緊張と心地よさを感じ、そっと目をつむった。





翌朝。

あれ、ここは……。あ、そうだ、昨日はあのまま柊ちゃんの家に泊まって、いっしょのベッドに寝たんだった。
ふと寝返りを打てば、まだ眠ったままの柊ちゃんのキレイな顔が目の前にあって、ドキッとした。


「ん……。あ、なずな、おはよう」

「おはよう、柊ちゃん。起きなくて大丈夫? たしか今日も仕事だって言ってなかった?」

「昼にスタジオ行けばいいからまだ大丈夫……」

寝起きのかすれ声でそう答える柊ちゃんに、「スタジオ?」と聞き返すと、彼は目をこすりながら上半身だけ起こした。


「新商品のカタログに載せる写真の撮影をするんだ。モデルの人にうちの商品を履いてもらって、足の写真を撮らせてもらう」

「柊ちゃんそんなお仕事までしてるの⁉︎ すごいね!」

「いや、べつにすごくないって。俺が撮影するわけじゃあるまいし。俺はほぼ立ち会いとデータ確認だけだよ。ほんとなずなはやたら人のこと褒めすぎ」


そう言うと柊ちゃんはぽんぽんと私の頭を撫でた。
えー、だってモデルさんがスタジオで撮影する仕事に携わるなんてほんとにすごいと思う。


「そんなことより、おはようのキスして」

柊ちゃんに突然そう言われ、私は思わず「え?」と驚く。


「ほら、キス」

柊ちゃんは私の顎を持つと、戸惑う私をよそに唇を重ねてきた。朝から深いキスを何度もされ、戸惑いよりも幸せな気持ちの方がどんどん大きくなる。
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