初恋の彼が、割と重度のフェチ持ちでした
「はは。そうかもな」

「あ、私この靴が一番好きだなって思った。リボンの色がすごくかわいい」

薄いピンクの大きなリボンがついた、透け感のあるサンダル。夏っぽいし、女の子らしいし、一番好きなデザインだった。もちろん、ほかの靴も全部かわいかったけど。


「うん……俺もこの写真好き」

「柊ちゃんもこういう靴が好きなの?」

「っていうより、この角度のシルエットってキレイだよな……」

「ん? 靴のシルエットってこと?」

「あ、いや……ごめん、なんでもない」

「?」

なんだろ。ちょっと柊ちゃんらしくないというか、歯切れの悪い感じ。なにかあったかな?


「あ、ちょっと足伸ばしてもいい?」

私は柊ちゃんにそう言って、足を伸ばさせてもらった。


「足、どうかした?」

「ちょっと疲れちゃって。慣れない靴いっぱい履いたからかな」

「え⁉︎」

柊ちゃんは突然彼らしくない大きな声を出して驚いた。そして、「ちょっと見せて」と。


「え? だ、大丈夫だよ。痛いわけじゃないし、慣れない靴で歩いてたわけでもないしさ」

「いいから見せて」

柊ちゃんに強くそう言われ、私は伸ばしていた足を山おりして、柊ちゃんの方に向けた。


柊ちゃんは私の右足に触れると、至近距離で見つめる。


「赤くは、なってないな」

「う、うん。全然大丈夫だよ」

「靴ずれは?」

「それも平気。本当に、ちょっと疲れただけだよ」

「でも、心配だ」
< 19 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop