小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
もうすべてを壊してやる。

もう失うものなんかなんもねぇよ…!!





―――俺はナナコを抱いた。





酒の力を隠れ蓑に俺は本当は初めからナナコを抱くつもりだったのかもしれない。

もう限界。


苦しくて。
あんなに嫌悪感を感じたことさえあるナナコを抱いたんだ。


ナナコを抱きながら想うのはナナのこと―――、ただそれだけ…。

ナナ…

ナナ…


心の中で繰り返せば繰り返すほど惨めになる。

最低だ、俺は。





トゥルルルル―…トゥルルルル―…



また鳴り出したケータイ。
俺は手を伸ばしケータイを耳に当てる。

「はいは〜い?」

もうすっかり目が覚めたつもりだった俺だがこの後、ケータイを片手に放心した。


電話の相手。
それはタクトだった。


そして、タクトは言ったのだ。




「ハルト?ホントにナナコちゃん、妊娠してる?確かめた?」




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