小さな花 〜あなたを愛した幸せな時間〜
マユの言葉に視線を泳がせた。

‥‥そうなの?

‥‥そうなのかなぁ?


「だって‥‥何もなかったもん‥‥」


───突然だけれど私は男の人とキスしたことさえなかった。
もちろん‥その先なんてもってのほかで‥‥。

男の子とは遊んできたけどいわゆる体のカンケイをもったことはなくて‥‥。

今までの彼氏ともなにもない‥というかデートもろくにしたこともないんだから。


「なんかなぁ‥。」


マユが納得いかないと言う顔でベッドから下りてきた。


「‥でもっ!付き合ってる訳じゃないし!」


言い訳みたいに言葉を挟む。

だって…
心のどこかで何もなかったことを淋しく思ってる自分がいたんだ。



初めての気持ち。



人を好きになるとその相手に触れたくなるんだね。



そんなこと、恥ずかしくてまだ言えないけど‥‥。


「付き合ってなくてもチューくらいさぁ‥‥なんてナナに言っても仕方ないね。」


マユは笑ったけど私は笑えなかった。


「付き合ってなくてもチューとかするの!?」




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