御探偵さん
美容室事件




次の日



千聖「こんにちはー」


野村「あ、いらっしゃいませ!」


拓「今日は営業してるんですね」


野村「はい、って言っても今はお店的に厳しくて
あまり予約が入ってないんですけどね」


千聖「そうなんですか、じゃあ今ちょっとだけお話しても大丈夫ですか?
大川さんと野村さんと日森さん」


野村「えぇ大丈夫です」




拓「ここが河野さんが亡くなった椅子ですね」


千聖「日森さん、あなたが3時頃に
店長の声がしたというのは本当ですか?」


日森「はい、間違いないです」


千聖「その声がドア越しだって言ってましたね
録音された声じゃないですか?」


日森「え?そ、それはどうかわかりません」


拓「今の時代スマホの録音機能もあって
それを遠隔操作できる機能もある
ただあの状況で遠隔操作できる人はただ1人
そして河野さんを自殺に見立てて殺害できる人も1人だけ」


野村「さ、殺害ですか!?」


拓「はい、現場は水浸しでナイフが落ちてました」


大川「水浸し…ですか?」


拓「おそらく大きな氷を河野さんの腕に輪ゴムで止めた
その上に木の板を置いてその上にナイフを刺す」


拓「そうすると氷は上から下に溶けていきます
そしてナイフは徐々に河野さんの手首を切っていく
人間の体は必要以上に冷やすとその部分の感覚が麻痺して切られることに気づかないんです」


野村「でも河野さんの腕に氷を止めるなんて無理ですよね?」


拓「そんなことありません、河野さんは手首を痛めてるんですから」


野村「え?」


拓「千聖が河野さんに聞いてたんです
手首が腱鞘炎になって困ってると
だからいつも氷で冷やしてるみたいです
しかし日頃の疲れからかそのまま眠りについてしまった
いや、むしろ誰かが寝かせたんです
優しい方が休んでくださいって」


野村「その人って…?」


日森「…まさか」


拓「あなたがやったんですよね?」


大川「………」


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