<BL>僕の世界の侵略者
 ドアの開く音がするとそこには、陽裕さんが――、とても傷ついたという表情でこちらを見ていた。



「陽裕、さん、どうしたんですか?」


「同情なんかで、一緒に居たいなんて思うかよ」



聞いたことない低い声をしていた。



「俺は、お前にとってそんなもんなのか。
同情なんかで俺が助けたと思ってたのか」



怒っているのは、分かったけど、何故怒っているのか、分からなかった。



「それ以外に僕を助ける理由って何ですか?」



ただの純粋な疑問だった。

こんな僕を助ける理由をつけるとしたら、きっと同情や偽善だと思っていた。

そんな当たり前のことで、陽裕さんが何故、怒っているのか――。
僕には理解できなかった。



「なんなんだよ、お前は……。
俺が勝手に勘違いしただけなのかよ」



部屋を出ていってしまった。



「おい、陽裕、待てて」



澪さんは、陽裕さんを追いかけて行った。


そのあと、玄関のドアが開閉する音が聞こえた。



「どうしたの?
澪さんが叫ぶ声聞こえたんだけど?」


「分からないです」


「あれ、何、どうして、泣いてるの?」


「えっ」



気がつくと涙が出ていた。

親に殴られて、痛い思いしても泣けなかったのに何で、陽裕さんのことになるとこんなに涙が出るんだろう?



「依利君、どうしたの?」



結月さんに心配かけてるから、塞き止めなちゃいけないのに止まらない。

どんどん溢れてくる。
どうして、こんなに苦しいのか、誰か、教えてよ。


< 20 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop