いつかそんな日がくればいい。【短】
まさか、こんなにもアッサリバッサリ断られるなんて…。
心底嫌そうな顔で溜息をつく彼女に、開いた口が塞がらない。
そんな俺を、白田さんは一度横目で見ると困ったように笑ってみせた。
「…だから、私が可哀想だからとかいう理由で、一緒に回ってくれなくていいのよ。お祭りなんてただの口実で、好き好んで来たわけじゃないから」
そうだよな。
白田さんにしてみれば、"黒崎"と祭りを回ることに意味があったわけで、黒崎がいない今、ここにいる意味は全く皆無なわけだ。
一緒に回ろうと誘うのは、的外れだったか…。
それじゃあ…
「俺はさ、祭り好きなんだよね」
「…は?」
「何かさ、活気があって楽しい気分になるし。屋台で買ったものって不思議と美味く感じるんだよね」
「…私、よく分からないわ。あんまりお祭りって来たことないのよ」
「じゃあさ」
俺と白田さんの視線が交わる。
身長差のせいで、自然と上目遣いになる白田さんに少し胸がざわついた。
「少し付き合ってよ。俺も一人で回る勇気ないんだ」