いつかそんな日がくればいい。【短】
白田さんは、驚くように目を見開くと、色白の頬をピンクに染めて目を泳がせた。
まぁ、俺はそれが何でかなんて、分からないんだけど。
「な…によ…それ…」
「え?なにが?」
「あなたそれ天然なのね。何だかあなたが王子呼ばわりされるわけ、少し分かったような気がするわ」
「??」
ん?王子?何のことだ?
「もういいのよ。浴衣なんて。見せたい人は、ここにはいないもの」
白田さんは苦笑すると、「それじゃあね」と言って、俺に背を向けた。
なぜだかなんて、俺だって分からない。
気が付いたら、そんな白田さんの腕を、俺は咄嗟に掴んでいたんだ。
「…何よ?まだ何かあるの?」
俺は一体何をしているんだろう?
こんなこと言って、どうするんだ?
だけど、去っていくその小さくて華奢な身体を、俺は黙って見送るなんて出来なくて…。
「一緒に祭り、回らない?」
気付いた時には、そんな事を言っていたんだ。