じれったい
最初から見ていないからストーリーは全くわからなかったが、おおまかにまとめるとするならば切ないラブストーリーと言ったところだろう。

別れた恋人を忘れることができない女の前に1人の男が現れて、彼と一夜を共にすると言うストーリーだった。

昔の恋を忘れることができないと泣いた女に、彼はさっきのセリフを言ったのだ。

「――思い出と言うものはさ、乾けばすぐに燃えてしまうものなんだよ」

先ほど言った男のセリフをマネするように、私は呟いた。

玉置常務は私を母親思いの“いい子”だと言ったのと同時に、母親に依存している“悪い子”だと言った。

――悪い子じゃないんだけどね

そう言って今までの好きだった人に振られた理由が、玉置常務の手によって明かされた。

テレビの画面に視線を向けると、2人は夜の街を歩いているところだった。
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