じれったい
ドキッ…と、また心臓が鳴った。

どうしよう…。

玉置常務の顔を見るのが恥ずかしくて、私はうつむいた。

「お風呂はどちらの方にありますか?」

そう聞いてきた玉置常務に、
「奥の方にあります…。

今、ご案内を…」

そう言って顔をあげたら、
「1人で行けますからいいですよ」

玉置常務は脱衣かごにジャケットと靴下を入れると、私の手からそれを奪った。

「奥の方ですね」

「はい…」

玉置常務は私の前から立ち去ると、奥の方へと歩いて行った。

その後ろ姿を私は見送ることしかできなかった。

「そうだ、着替えを用意しなきゃ…」

自分に言い聞かせるように呟いた後、私もその場から離れた。
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