じれったい
ジリリリリリリ…!

枕元で鳴っていた目覚まし時計に手を伸ばすと、それを止めた。

目を開けたその瞬間、涙がこぼれ落ちた。

躰を起こしてふとんから出ると、カーテンを開いた。

朝のまぶしい光が寝起きの目を刺激した。

先ほど見た夢が原因だろうか?

線香の強い匂いが、まだ鼻に残っているような気がした。

「――嫌な夢…」

私は呟くと、鼻に残っている線香の匂いを出すように息を吐いた。

洗面所で顔を洗うと、朝ご飯を作るためにキッチンへ向かった。

壁にかかっているカレンダーに視線を向けると、
「もう2週間か…」

私が玉置常務の秘書として働き始めてから、もう2週間が経っていた。

同時に、“あの日”が近づいてきているのだと気づいた。
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