じれったい
私は、玉置常務に何をされたと言うのだろうか?

彼の唇が自分の頬に触れていると言う状況に、どうしていいのかわからなかった。

一体何があったの?

そう思っていたら、玉置常務の唇が離れた。

玉置常務はフッと優しく微笑むと、
「また明日」
と、言った。

「――はい、また明日…」

私が返事をしたのを確認すると、玉置常務はその場から立ち去った。

何が起こったの…?

彼の後ろ姿が見えなくなったけれど、私はその場から動くことができなかった。

少しずつ冷静になって行く頭と同時に、私はようやく状況を理解することができた。

――玉置常務が、私にキスをした。

でも何で?

何で私にキスをしたの?

キスされた頬にそっと手を当てたら、そこだけひどいくらいに熱かった。
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