この関係にピリオドを
ベッドに寝そべってノートパソコンに齧り付く私はそんな彼の言葉にも返事をしない。彼は、いつも帰るとき、「バイバイ」じゃなく、「大好きだよ」と言う。

そんなこと聞いてないし。


私みたいな女と付き合ってる竜樹がかわいそうだとは思う。嫌いなわけじゃない。ただ、そろそろこの関係にピリオドを打たなきゃいけないとは思ってる。


「・・・また、言えなかった」


昨日、摩梨にいい加減、別れてあげなきゃ竜樹が可哀想だし、お互いのためにならないと念押しされたのに、いざ実行に移すとなると三年の月日は長いものだった。


パタンとノートパソコンを閉じる。マンネリ打破にと買ったフリフリのルームウエアには袖を通さず、ヨレたTシャツに去年買ったオシャレステテコを履いた自分の姿に苦笑い。


「さすがに、これは彼氏と会うときの格好じゃないな」


ボソっと独り言をつぶやいて、喉の渇きを潤そうと冷蔵庫へと向かった。


最初の一年は、偽りの自分を演じていた。服だってメイクだって苦手な料理だって努力して。でも、そんなの自分の本当の姿じゃなくて、当然、長続きしない。


そのときはまだ、別れられても仕方がないとカミングアウトをした。


「あたしね、本当はオシャレとか苦手だし、料理だって好きじゃないの。だから、あたしはもう無理はしたくない。騙してたわけじゃないけど言えなくてごめん」
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