國比呂少年怪異譚
「反応してくれなくて寂しかったから妹さんに移ったのかもしれませんね」

次にガソリンスタンドに行った時、國比呂君に相談すると、そんな返事を返してきた。

「反応してくれないも何も、私や妹には見えないのよ。見えないものにどう反応していいやら…」

「分かってくれる人の所に、霊は行きますから。気付いてくれなければ、自然といなくなります」

相変わらずせっせとフロントガラスを拭く國比呂君。

「だから僕も『お連れの人』なんて言ったんですけどね」

「……!……」

気付いてたのっ?

「だったら何で早く教えて…!」

「無害な霊でしたから。お祓いする必要なんてないでしょ?妹さん周辺の不幸は偶然。車の故障は整備不良。霊のせいじゃないですよ」

< 34 / 100 >

この作品をシェア

pagetop