國比呂少年怪異譚
「わっ、すご~い」

「その出っ張った物を回して見たり、もっと上に引き上げたりしてごらん」

ジイさんに言われる通りに彼女がすると、今度は別の1面が陥没した。

「すご~い!パズルみたいなもんですね!ユウもやってみたら」

この仕組みを言葉で説明するのは凄く難しいのだが、『トランスフォーマー』という玩具をご存知だろうか?

カセットテープがロボットに変形したり、拳銃やトラックがロボットに…という昔流行った玩具だ。

このリンフォンも、正二十面体のどこかを押したり回したりすると、熊や鷹、魚などの色々な動物に変形する、と想像してもらいたい。

最早、彼女はリンフォンに興味深々だった。

俺でさえ凄い玩具だと思った。

「あの…それでお幾らなんでしょうか?」

彼女が恐る恐る聞くと、

「それねぇ、結構古いものなんだよね…でも、私らも置いてある事すら忘れてた物だし…よし、特別に1万でどうだろう?ネットなんかに出したら、好きな人は数十万でも買うと思うんだけど」

そこは値切り上手の彼女の事だ。

結局は6500円にまでまけてもらい、ホクホク顔で店を出た。

次の日は月曜日だったので、一緒にレストランで晩飯を食べ終わったら、お互いすぐ帰宅した。

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