四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
私の名前を聞いて、彼…ジルコーは驚きます。

「天羽…確か悪名高い魔女の一族、デッドゲイトの血縁に、そんな名前の奴がいたよな?」

「…物知りですね」

私は憮然とした表情でベンチに座りました。

「なるほどなぁ、道理でえげつねぇ手を使う訳だ。あのデッドゲイトの身内だったとはなぁ」

何が楽しいのか笑うジルコー。

「だったら腕の一本も食わせてくれてもいいじゃねぇか。どうせ『再生』の魔術でまた元通りになるんだろ?」

「そんな高度な魔術を施しているのは本家のメグさんだけです…私は分家の落ちこぼれだから、再生の魔術なんて使えません」

ムスッとしたまま返答しました。

「そうかぁ…じゃあ仕方ねぇなぁ…」

しつこく食い下がるのかと思いきや、ジルコーはあっさり引き下がって私の隣に座りました。

…そのまま何を言うでもなく、二人して夜空の月を眺めました。

三日月です。

「ジルコーさんは」

「んぁあ、ジルコーでいいぜ」

「ジルコーは…なんで満月じゃないのに狼に変身できるんですか?」

「あ?」

ジルコーは『お前馬鹿じゃねぇの?』と言わんばかりの表情でした。

「満月見て狼に変身なんて、人間の書いた創作だぜ?本物の人狼は自分の魔力で自在に姿を変えられるんだ。お嬢ちゃんも魔女なら覚えときな」


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