四門メグへの手紙~魔女の瞳番外編~
六枚目
何とか。

本当に何とかという感じで、私とジルコーは御影市の猟奇殺人事件の犯人…グールを倒す事が出来ました。

「やれやれ…自慢の毛並みが血で台無しだぜ」

私の治癒魔術で傷を癒した後、ジルコーがそんな事を言います。

…おどけてはいますが、実はジルコーが一番貧乏くじだったかもしれません。

私に猟奇殺人の犯人と勘違いされて、私に殺されかけて、今はまたグールにまで殺されかけて。

「色々ごめんなさい、ジルコー」

一言謝るくらいしておいても、バチは当たらないかもしれません。

「お~?何だ何だ」

ジルコーがまたからかうように私の顔を覗き込みます。

「お嬢ちゃん、マジで俺に惚れたんじゃねぇか?子供は何人欲しい?ん~?」

「違いますっ!」

私は赤面してそっぽを向きました。

「気にすんな」

人間の姿に戻り、ジルコーは笑みを浮かべます。

「なかなかに楽しい狩りだった。やっぱ戦闘はこういう死ぬか生きるかの緊張感のあるのじゃねぇとな」

…死にかけたっていうのに、こんな事をサラリと言ってのけるんです。

人狼の考え方は、理解に苦しみます。

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