翼をください
返事をする気力がなくて、黙っていると、誰かが部屋に入ってきた。
「柚……?」
お母さんの声だ……
「顔冷してどうしたの?」
「柚?」
私はゆっくり口を開いた。
「……なんでもな……い……」
枯れた声。
昨日泣きすぎたからかな。
そんな私の声を聞いて、
「あら!風邪ひいたの!?体温計持ってくるわね!」
と、バタバタと部屋を出ていった。
無意識に溢れてくる涙を止める気力もない私は、タオルで涙を隠し、再び聞こえてくる階段の音を静かに聞いていた。