聖獣王と千年の恋を



 あれからガーランは姿を見せることなく、夜になってしまった。出歩くなと言われたので、メイファンはおとなしく庵に閉じこもっている。おかげで閑を持て余してしょうがない。見かねたシェンリュが用意してくれた本をめくって夜まで過ごした。
 本をめくっていたものの、内容はさっぱり頭に入ってこない。ワンリーがどうしているのか、そればかり考えていたからだ。
 することもないので早々に床に着いたものの、やはりワンリーが気になって眠れない。とにかくワンリーに会いたかった。

 眠れないまま窓の外から聞こえる蛙や虫の声を聞きながら、寝返りを繰り返す。すると入り口の扉が微かに音をたてた。
 横になったままでこっそりと入り口を窺う。ゆっくりと扉が開き、床を月明かりが照らした。その真ん中に人影が延びてくる。

「誰?」

 メイファンはとっさに体を起こして、入り口を見据えた。そこには月明かりを背にして男がひとり立っていた。


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