お嬢様 × 御曹司
…たけくんポエマーだわ。


夢を見つけるのが夢か。


それは楽しいかもしれない。


「小さなことでもいいから目標を立てるとかは?夢と目標ってかけ離れてるようで、かなり近いと俺は思うね。」


小さな目標…


一つだけ、大きな夢は決まってるんだけど、たけくんにはいいズラい。


だって本人に向かって、「たけくんと結婚する!」なんて幼稚園児みたいな言い方で宣言したくないもん。


だから、これは私の胸のうちに秘めておくの。


大きくなってからそれを話して、たけくんと笑いあうんだ。


「そうだね。まずはコツコツ勉強するよ。」


たけくんは苦いものをかみつぶした顔。


「痛いところつくなぁ。」


勉強はできるけど苦手らしい。


「たけくんは勉強できそうな見た目してるのに。」って言ったら、「できなくはない。」って返されたからね。


自分で満足する点数じゃないとできたって言わないんでしょう、たけくんの場合。


「さて。」


たけくんが手を恋人つなぎに繋ぎ直して歩き出す。


その何気ない行動が、私の心を踊らせる。


思わず顔がにやけてしまう。


あぁ、それとね、行き場所はわかっているから、あえて聞かなかった。


かわりに一つだけ質問をする。


「たけくんは私の彼氏?」


「聖夜は俺の彼女。親にも兄弟にも極力言うなよ。馬鹿にされて終わるだけだから。」


そう言いながらこちらを見ないのは、たけくんの顔が真っ赤だからだと私は推理する。


そうして、言うなというのは、自分が恥ずかしいからだということも、私にはお見通しなわけである。
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